OECDがおこなったPISA調査(PISA調査とは、OECD(経済協力開発機構)による「学校で学習した教科内容の理解度や定着度をみるというよりも、子どもたちが将来社会に参加したり、生活したりしていく力をどの程度身に付けているか」をみる国際比較調査) の結果において日本は国際的に上位にあるもののもはや世界一流ではないという結果がでたことをご存知の方も多いことでしょう。 その調査の中で最も問題視されたものが、PISA型読解力の不足でした。PISA型読解力とは「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれた テキストを理解し、利用し、熟考する能力」のことです。
つまり、社会活動においてテキスト(文章や資料)を理解・利用・熟考評価する力であるということです。そして、このような力をみる読解力は以下の三つの観点でさらに規定されています。
(1)テキストの形式: テキストを「連続型テキスト」と「非連続型テキスト」の二つに区分しています。「連続型テキスト」は通常、文章、段落で構成されています。「非連続型テキスト」には図やグラフ、表、地図、広告などが含まれます。 特に「非連続型テキスト」に関しては、日本の国語の授業ではあまり取り扱われない分野になります。
(2)5つのプロセス: PISAでは読解力の五つのプロセスを測定しています。 1情報の取り出し 2幅広い一般的な理解の形成 3解釈の展開 4テキストの文脈の熟考評価 5テキストの形式の熟考評価 特に「熟考評価」は与えられたテキストからの情報だけではなく、テキスト外の情報、つまり自分の知識や経験などを使って内容や形式を深く理解し評価、判断していく力になり、日本の生徒があまり慣れていない部分だといえます。
(3)状況: テキストの一般的な分類です。四つの分類がされています。 1私的な用途 2公的な用途 3職業的な用途 4教育的な用途
日本の生徒が弱いと指摘されている「解釈」「熟考評価」「さまざまな文章や資料の読解(非連続型テキスト含む)」ということになります。これらの能力を今後鍛えていくことが重要になります。 生徒のこうした力を入試において測ろうとする試みがあります。それが公立中高一貫校入試における適性検査および、高校・大学入試における小論文入試ではないでしょうか。中学入試では受験テクニックに長けた児童ではなく、 磨けば光る原石を発見するために、また大学入試では一般教科入試では測ることの出来ない力(将来人材となる力)を持つ生徒を発掘するためにこうした入試方法が導入されています。 ここにPISA型読解力を向上させるためのヒントがあるように思えます。
適性検査の内容は正直多種多様です。その理解の土台となるのが 各教科の基礎の理解です。また、算数の正解が一つに限られるのと違い 適性検査で、正解が何通りにも存在する問題が数多く出題されています。 1つの答えを探すことばかりに集中していては人は注意が必要です。思考回路の転換が必要となるでしょう。 答えを導き出す過程や自らの考えを表現することに比重が置かれています。 さらに一つの教科の枠に収まらない、全教科横断型の問題が数多く出題されています。
それでは以下でその具体例をみていきましょう。
例えば、公立中高一貫教育校の先駆けのI校、 宮崎県立五ケ瀬中等教育学校の「適性検査I」 の出題例。5人が運動場を1周走る競争(ただ し同時にゴールした人はいない)をして、「Bく んはAくんより3秒適い」「BくんとCくんは 8秒差」「CくんはEさんよりおそい」「Dさん はEさんより4秒以上迷い」「1位と5位は9 秒差」といった状況にある時に、「5人はどのよ うな順番でゴールしましたか。ゴールした順に 左から書いてください」と問う。
また、青森県の県立中学校の「適性検査I」 では、日本の食料自給率が下がった理由に「食 生活の変化」を挙げ、二つの資料を示す。一つは 「日本人1人当たりが食べる量をもとに、食生 活の変化を表したもの」で1965年度、198 7年度、2004年度の1日のご飯を食べる量、 豚肉や牛乳の摂取量などを比較した。もう一つ の資料は、前記の年度ごと、品目別の食料自給 率を表した図を掲示する。その上で、「ア米や 鶏卵をより多く食べるようになったので、それら の食料自給率が下がった。イ野菜や牛乳・乳 製品をより多く食べるようになったので、それら の食料自給率が下がった。ウ油脂類や肉類 をより多く食べるようになったので、それらの食 料自給率が下がった」という文章のどれが適切 か、一つ選ぶように求める。
新潟県の県立学校では、地球の環境問題に ついて地球温暖化などを取り上げ、「あなたが 小学校で学んでことやあなたが体験したことをもとにして『ストップ温暖化』というテーマであなたの考えをを自由に書いてください。」という作文課題が出題されました。
いずれの問題も物事に対して疑問を持ち探求する姿勢を持つことや、自分自身の意見を分かりやすくきちんと伝えられる能力(表現力)や、日常の生活で体験することすなわち経験値の豊富さなどが求められています。こうした能力を伸ばし、育むことは机の上だけの学習で完結するものではないはずです。
小論文入試において設問の意図を正確に読み取ることはとても重要です。また、問題点をみつけだす切り口はあなたの身の回りにきっとあるはずです。例えば出題テーマが「望ましい高齢者社会について」であったとしましょう。このテーマについて家族や親族の老後の生活はどうあって欲しいですか? 近所にひとり暮らしのお年寄りの人はいませんか? 何か困っている事はないでしょうか。そこにはどのような問題があるでしょうか。その問題点をみつめる視点をいろいろな角度に変えてみてください。あなただけの深い考察にいきつくことが可能なことと思います。
そしてそのようにして得た考察はあなた自身が読み手に説得力をもって伝えることができるのです。小論文というものは、課題に対してどれだけ考えて、自分なりの意見(主張)を述べることが出来たかが、重要な採点基準となります。
試験本番で、まったく知識のない分野の課題が出たとき、自分で疑問を導き出し考える力がついていれば、あわてないですみますね。ですから外部から得た知識に頼って、一般論や抽象論でうまくまとめ上げてしまうのではなく、知識はあくまでも参考にしながらも、自分ならどう考えるか、どこかに疑問点はないだろうか、と必ず自問自答を繰り返しながら、ぜひ独自の考察を得ることが大変重要になります。
小論文を書くことはいろんな問題を考えるきっかけになるでしょう。また、自分で問題意識を持ち、解決のために考えるといった習慣が身に付いたかもしれません。補足説明の役割を果たす具体例を上手に用いながら、論理展開をスムーズにするよう心がけましょう。そのためにも、もう一度原点に返ってしっかり自問自答し、自分の思ったこと、それにまつわる体験、そこから得たもの、それによってわかったこと、とつながりを持たせて考えを発展させていくと良いですよ。
| 1位 | 中学校国語科PISA型読解力を培うノート&ワーク 2268円 楽天ブックス 著者:相沢秀夫出版社:明治図書出版サイズ:単行本ページ数:101p発行年月:2007年07月この著者の新着メールを登録する【内容情報】(「BOOK」データベースより)「PISA調査」で主に求められたのは、文章や種々のグラフ・表などの情報をもとに思考・判断できる力であり、自分の考えを自分の言葉で論理的に表現できる力である。問われるのは、日々の国語教室でこのような思考・判断力並びに表現力の育成がどのようになされているかということである。付言すれば、思考・判断力や表現力を鍛え高める絶好の機会であるノートに書かせたりワークシートを活用したりして自分の考えを広げ深める指導をどのように行っているのかという |
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| 2位 | 小学校国語科PISA型読解力向上の学習問題と解説 2100円 楽天ブックス 著者:小森茂出版社:明治図書出版サイズ:単行本ページ数:86p発行年月:2007年05月この著者の新着メールを登録する【目次】(「BOOK」データベースより)1章 PISA型読解力の向上の構想と展開(国語科として、PISA型読解力向上に取り組む/PISA型読解力の課題と国語科授業の改善)/2章 PISA型読解力向上の学習問題(テキストを理解・評価しながら読む力を高める学習問題/テキストに基づいて自分の考えを書く力を高める学習問題/様々な文章や資料を読む機会や、自分の意見を述べたり書いたりする力を向上させるワークシート)【著者情報】(「BOOK」データベースより)小森茂(コモリシゲル)青山学院大 |
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| 3位 | 必ず「PISA型読解力」が育つ七つの授業改革 1848円 楽天ブックス 「読解表現力」と「クリティカル・リーディング」を育 著者:有元秀文出版社:明治図書出版サイズ:単行本ページ数:117p発行年月:2008年02月この著者の新着メールを登録する【目次】(「BOOK」データベースより)第1章 どうしたら「国際的なコミュニケーション・スキル」が育てられるか?(PISAの最大の敗因は「読解表現力」と「クリティカル・リーディング」の欠落である/私は国際社会をどのように学んできたか/日本人のコミュニケーションのどこがおかしいか?/コミュニケーションの国際基準とは何か?/先ず「自尊感情」が育てればコミュニケーションが好きになる)/第2章 PISA読解力調査でわかったこと(日 |
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